日韓高校生の国際共同探究研修(校長ブログ210)
観光庁の支援を得て、「日韓高校生の国際共同探究研修」を年末から年始にかけて行いました。4人の生徒が、韓国釜山などの高校を訪問して、様々な活動を行うという企画です。単なる交流ではなく、探究活動を日韓の高校生が協力して行うという内容になっています。参加した4人の生徒(云さん、草《したがき》さん、会田さん、徳永さん)に話を聞きました。
【企画概要】
観光庁による「海外教育旅行プログラムの付加価値向上支援事業」に、本校がエモック・エンタープライズ社と共同で申し込み、採択された企画。12/26~1/3に、韓国のキョンヘ女子高校、チルウォン高校、イソル高校を訪問し、探究発表や文化交流、フィールドワークなどを行う。単なる文化交流にとどまらず、探究型・国際共同型の修学旅行のあり方を模索する企画として、観光庁の支援を受けた。今回の企画をふまえて、今後、同様の企画を継続的に実施していくか、検討中。
~~この企画に参加したきっかけは?~~
4人とも、「IB探究」というグループに所属しています。ローカルとグローバルをつないでいくようなテーマで探究活動をしているグループです。「岩槻人形」「岩槻黒奴」「ヴィーガンレストラン」といった岩槻の産物・文化をどう世界にアピールしていくか、ということを探究しています。担当の三原先生から、日頃の成果を韓国で発表する機会ということで参加者募集の話があり、興味を持ちました。自分のテーマの幅を広げたいと思って参加することにしました。
~~相互に探究発表を行って感じたことは?~~
韓国の高校生のプレゼンテーション能力の高さです。韓国語でも英語でも、非常にわかりやすく、また、場を盛り上げる工夫も随所に見られ、見ごたえ聞きごたえのある発表でした。かなり長いスクリプトを完全に頭に入れ、熱く語っていました。内容的にも、自分の足を使ってアクティブに活動して得た情報をうまく使っていて、参考になる部分がとても多かったです。
~~文化交流で感じたことは?~~
お互いに、伝統文化・遊びなどを紹介しました。たまたまなのかもしれないですが、今回交流した韓国の高校生たちはみな運動神経がよく、羽子板を紹介するとたちまちにコツを覚えて、白熱した戦いになって、とても盛り上がりました。自国の伝統文化や歴史についてとても詳しい生徒が多い印象を受けました。
~~フィールドワークで感じたことは?~~
私たちはもともと食について探究をしているので、今回は、韓国におけるビーガンについて実地調査してみることにしました。ビーガンの有名店を紹介してもらい、現地の学生たちと一緒に行って食べてみました。おいしくいただきましたが、辛さに関しては、感覚がだいぶ違っていました。「辛くないよ」と言われて食べてみたら、日本人的にはとても辛いもので、日韓の味の感じ方の違いを実感できました。プサンの商店街の雰囲気が、赤羽の一番街に似ているところがあり、とても庶民的な町、という感じがしました。
~~今回の企画で学んだことは?~~
最初は、スマホの翻訳アプリを使って、日本語↔韓国語で会話していましたが、これだと会話が途切れがちで、気まずさも感じたりしました。途中からは英語でコミュニケーションするようになり、身振り手振りも混じりますが、この方がテンポよく会話することができ、関係が深まりました。相手に伝えようという気持ちがまず大事だと思います。韓国の高校では、高校2年生から第二外国語を学ぶらしく、日本語を学ぶ生徒も多いそうです。複数の言語を習得することによって、より交流や興味の範囲が広がるのかなと思いました。また、日本のアニメに対する関心が高く、ちょっと古めのもの(『キン肉マン』とか『エヴァンゲリオン』とか)から、最新のものまで、よく知っていました。日本のアニメに対する知識が深いと、世界中の人たちとアニメに関する会話で盛り上がれるということも学びました。
~~今後について~~
引き続き、自分のテーマを掘り下げていきたいです。2月に探究発表会があるので、今回の経験を折り込んで、発表したいと思います。
~~企画、引率した三原忠教頭補佐から~~
GBコース責任者として、開智らしい国際交流を探究してきました。今回の韓国研修探究(開発)は、昨年よりスタートしたチェコ・プラハとの国際交流に続く第二弾として、多くの方々の協力を得つつ企画・実現したものです(文科省「トビタテ!留学JAPAN」、日韓ユネスコ教職員交流、観光庁、韓国の慶尚南道教育庁および釜山教育庁、韓国の多くの先生方と生徒たち)。イギリスFWをベースとしつつ、オンラインと対面を組み合わせた交流、文化交流(観光)と探究実践を組み合わせた交流、そして夢と目標に向かって共に切磋琢磨できる友人ができる交流、を目指していきたいと思います。来年度より本格的にスタートすることをめざして準備中です。
~~インタビューを終えて~~
交流だけでも多くのことを得られますが、いっしょに探究発表や意見交換、フィールドワークを行うことによって、より多くの経験ができ、視野も広がります。科学技術の進歩により、ローカルとグローバルをつなげていくことのハードルも低くなってきています。より多くの生徒にこのような機会を提供していくにはどうすればいいか、ということは、本校の課題の一つと考えています。