コース&探究①(校長ブログ216)
3,4年生は、「自然科学系統」「医療公衆衛生系統」「地域貢献系統」「社会課題系統」「IB探究系統」という5つの「系統」に分かれ、それぞれに様々な経験をして、探究を深めています。今回はそのうちの一つ、「医療公衆衛生系統」の活動に取り組んだ25期生の4人の生徒(田辺さん、坂口さん、井口さん、髙橋さん。4人とも昨年度までMDコース在籍)に話を聞きました。
【活動の概要】
公衆衛生やウィルスに関する体験的な学習をしたうえで、政治・経済・文化、各方面で以下の3点について調査する。
「新型コロナ感染症に専門家はいかに向き合ったか」「新型コロナ感染症の教訓は何か」「次のパンデミックに備えて、自分ができることは何か」
〇課題図書(尾身茂著『1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記 録』)の提示とレポート提出・ディスカッション
〇埼玉県衛生研究所見学
〇東海大学医学部へウイルス研究ラボの見学および医学部准教授中川草先生による講義
〇日本電気株式会社本橋洋介様による講義およびNEC Future Creation Hub見学
〇北里柴三郎記念博物館・大村智記念研究所の見学
〇Stay Fit Clinicの見学および産業医薮野淳也先生による講義
〇サラヤ株式会社 代島裕世様による講話(開智にて)
〇尾身茂先生による講演とディスカッション(開智にて)
〇レポート作成
〇開智発表会(文化祭)・探究発表会で発表
~~この活動に参加したきっかけは?~~
3年生になり、系統に分かれて探究をすることになりました。僕たちはMDコースに所属していることもあり、医療に関心があったこと、担当の田中先生の説明にも興味があったこと、などから、「医療公衆衛生系統」を選びました。この系統の活動のどれに参加するかは、各自に任されているのですが、いろいろなことを経験し、考えたことが、自分たちの探究テーマ(グループで活動)を深めていくことに役立ったと思っています。
~~それぞれ探究テーマを教えてください~~
「過疎地域における新型コロナウイルス対策の実態について」「コロナ禍における学校生活の変化について」「離島医療における新型コロナウイルスの実態調査」
~~印象に残った取り組み、感じたことなどを教えてください~~
「尾身先生のお話や産業医の薮野先生の話が印象に残りました。医師というと、目の前の患者さんの治療をするというイメージを持っていましたが、それ以外にも国際的な仕事とか、企業での仕事など、かなり幅広い分野があるということに驚きました。」「北里の研究所を訪問した時に、研究のために収集している資料やデータの膨大さに驚きました。」「サラヤ株式会社様のお話が印象的です。医療というのは、医師や看護師だけで担われているのではなく、幅広い人たちによって支えられていることを知りました。」「東海大学や北里の研究所の実験室を訪問した時のことが印象に残っています。実験室で様々な実験をして研究を深めることで医療の進歩が実現しているのだということを実感することができました。」
~~体験することによって見方・考え方がどう変わるということについて~~
「実際に会って話を聞くことで、本を読むだけでは感じ取れない、その人の熱意などが伝わってきます。」「体験によって、自分の進路に関する選択肢が広がってくるように感じます。」「知識の幅が広がると思います。」「本やインターネットの知識では、『ああ、そうなんだ』くらいの感じですが、実際に体験してみると、いろんなことの難しさ、おもしろさなどを、独自の感情や思いを持って捉えることができると思います。」
~~それぞれの探究テーマを深めていく上で、今回の活動が役立った点は?~~
「過疎地域のコロナ対応について、役所を中心にインタビューをしましたが、コロナ禍における医療従事者の話を聞くことで、視点が広がったと思います。」「コロナ禍で各学校はガイドラインに従って対策を考えていましたが、尾身先生など、そのガイドラインを作成する側の方々の話が聞けて、探究に広がりができたと思っています。」「離島においては、医療従事者が少ないので、医療従事者ではない多くの一般の方々の協力が必要でしたが、離島でなくても、医療従事者以外の多くの人々が協力してコロナ禍に対応していたことがわかり、共通点が見いだせたと思います。」
~~今後の取り組みと、将来の志望を教えてください~~
「探究を継続します。これからは、過疎地域のコロナ対応だけでなく、都市部のそれとの比較、連携などを探究していこうと思います。将来は医師志望です。尾身先生のような幅広い活動ができるようになれたらと思います。」「探究は一区切りつけて、一つ下の後輩に、『生徒視点から見たコロナ対応』という形で引き継ぎたいと思っています。将来は、病理医になって、膨大なデータを活用して人を救う仕事をしてみたいです。」「サラヤ株式会社が取り組んでいるような、手を洗うことの啓発活動を継続しようと思っています。将来は、医師志望です。」「英国フィールドワークでこれまでの成果を英語で発表しようと思います。将来は医師志望ですが、次のパンデミックに備えるための、医療と行政の連携や、ウイルスとは何かという研究になど興味を持っています。」
~~インタビューを終えて~~
いろんな活動に積極的に参加することで、視野を広げている様子がよく窺えました。ある時のものの見え方は、視点を変えてみると、違ったように見えるものです。大事なのは、今の見え方がすべてだと思わないこと。経験から様々なことを考え、将来の自分の方向性を決める上でそれを生かそうという姿勢が感じられて、とても頼もしく思えました。将来の社会貢献につながるような活動を、引き続き応援していきます。