学校ブログ

「アサヒ飲料賞2023」受賞(校長ブログ165)

 第5回サイエンスキャッスル研究費「アサヒ飲料賞2023」の最優秀賞に、カスカラティーを研究してきた、3年生の池田結香さんが選ばれました。おめでとうございます。2年生のころから、継続して取り組んで来た成果が評価されました。さっそくインタビューしました。

 

【カスカラティーについて】

 コーヒーの実(コーヒーチェリー)は、60%が種で、その種の部分がいわゆるコーヒー豆。それ以外の部分(これを「カスカラ」と言う)はポリフェノール等栄養分に富んでいるが、ほとんど廃棄され、環境問題の原因となっている。そのカスカラを活用して作られたお茶が、「カスカラティー」。【校長ブログ117もご参照ください】

 

【アサヒ飲料賞について】

https://www.asahiinryo.co.jp/company/newsrelease/2023/pick_1228.html

(アサヒ飲料株式会社様のHP)



~~受賞作品の内容について教えてください~~

 昨年度のCMA(Change Maker Awardsー中高生のための英語プレゼンテーションコンテストー)では、カスカラを活用して、お茶やお菓子を作ることを提案するというところまで進みました。その続きとして、今年度はカスカラティーの商品化を考えてきました。商品として売り出すためには、日本人の好みに合わせる必要があると思い、焙煎のやり方、粉砕の有無、抽出の時間などを変えた試作品の中から、ベストの条件を探しました。見つけたと思ったら、再現性がなく、それは焙煎方法の不備によるものだと判明しました。オーブンで焙煎する方法が良いと思っていましたが、開智の化学室のアルコールランプを使う方がより安定的に焙煎できることを発見しました。また、味には、酸味と苦味がポイントであると考え、アサヒ飲料様のアドバイザーの方のご意見もふまえて、それぞれを定量的に測定できるよう、工夫しました。この経緯をまとめて、発表しました。

 

https://esibla.or.jp/change-maker-awards/column/contests/5th_cma_report

(CMAのHP)

 

~~大変だったこと~~

 45種類以上の製法を検討しました。とても大変でした。なかなか思った通りに行かないことがたくさんありました。発表のためのスライドやポスターの制作にも手間がかかりました。発表も緊張しましたが、サイエンスキャッスル関東大会にも出場したので、経験を積むことができたのは大きかったです。

 

~~学んだことなど~~

 月1回、アサヒ飲料の方とのミーティングがあり、そこでいろんなアドバイスをいただいたことはありがたかったです。また、開智の理科の生澤先生にも、実験器具の貸し出しや実験のアドバイスをいただき、感謝しています。成果発表会では、審査員の方々にいろんなご意見をもらい、参考になりました。研究者の方々の視野の広さには驚かされました。研究に没頭していると、つい固定観念にとらわれてしまいがちなので、専門家の先生のアドバイスはありがたかったです。

 

~~今後の方向性~~

 まだまだカスカラティーは完成途上です。何か別のものをブレンドすることも考えています。大学の研究室と連携することも模索しています。一方で、コーヒーの栽培の現場についても知っておいた方がよいと思い、この冬休みに、国内のコーヒーの産地(福岡、長崎)を訪問し、取材しました。味や生産性などをふまえた、実現可能な商品化を考えて行きたいと思っています。

様々な条件を設定し、よりよい味の実現をめざして実験しました。
発表で使用したポスター。
定期的に開かれた研究者とのミーティングの様子。
共同研究者の水政君とともに記念撮影。

~~インタビューを終えて~~

 よりよい味の実現を求めて、「疑問~仮説~検証」を何度も繰り返す姿勢は、大変すばらしいと思います。まさに開智の探究の真骨頂です。参加者の多くが高校生というなかで、中学生が表彰されるということも、大変立派です。BSテレビ東京「THE名門校」で採り上げられたことが、北海道の有志の方からカスカラの原材料をご提供いただくことにつながるなど、周囲の方々のサポートもあります。カスカラティー商品化の完成をめざして、これからもがんばってください。応援しています。