コース&探究③「エネルギーアイランドプロジェクト」(校長ブログ221)
昨年度の4年生の「自然科学系統」「社会課題解決系統」「IB探究系統」の生徒たちが集まって、日鉄エンジニアリング様主催、日本大学様協力の「エネルギーアイランドプロジェクト」に参加しました。その結果、ベストチャレンジ賞をいただきました。おめでとうございます。このプロジェクトに参加したメンバーは、髙橋さん、内堀さん、草さん、野﨑さん、波賀さん、平野さん、小澤さん、相原さん、佐藤さん、髙橋さん、森田さんの皆さんです。
【エネルギーアイランドプロジェクト】
「浮体式洋上風力発電」をテーマとしたプログラム。実際の大きさの1/250サイズの浮体式洋上風力発電所の模型を開発し、日本大学理工学部の水槽実験室を使用してコンテストを実施します。コンテストでは、波や風のある環境での安定性に加え、風車による発電量、更にコストや環境面を含めた総合得点で競います。(日鉄エンジニアリング様HPから)
~~活動に参加したきっかけ~~
それぞれの探究テーマ(「自宅で水力発電」「納豆」「松茸の栽培」「人口生態系」「LGBT」など)を進めていましたが、ちょっと行き詰っているな、と感じていたころに、久保先生からこのプロジェクトのことを聞き、おもしろそうだと思って参加することにしました。以前、NHKのTV番組「大科学実験」というものを見て、こういった実験に対する興味があったことも参加の理由です。
~~活動に参加する上で目標としたこと~~
実際に存在する洋上風力発電装置の模倣ではなく、自分たちでよく考えてよりよい装置を創造できないかと考えました。高い得点をとることをめざしたのはもちろんですが、なぜそうなるのかという原理的なものをしっかり追究しようと思いました。久保先生からは、その形状にするとどういう性能になるのか、計算により予測し、その数値がよりよいものになるよう考えることを勧められたので、それも心がけました。また、ただ浮けばいいということではなく、低コストということも含めて、より良い形状はどんなものか、皆でアイデアを出し合って試行錯誤していくことを心がけました。
~~大変だったこと~~
真冬に水に手を突っ込んで行った浮体の実験は、寒くて大変でした。浮体が傾いた時に、どうすれば立て直すことができるかを考えるために、浮力や復元力を計算する必要があるのですが、それが大変でした。プレゼンのためのスライド作りもかなり手間がかかりました。浮体の設計に関する説明だけでなく、洋上風力発電設置に伴う、環境への影響についての私見などについても、まとめました。当日の実証試験(@日本大学理工学部)では、事前に綿密に計算していたつもりではありましたが、実際には想定していた以上の力が浮体にかかって破損してしまうなど、思うようにいかないこともありました。
~~うまくいったこと、学んだこと~~
得点的には高くはありませんでしたが、製作するプロセスでは、行き詰って停滞してしまうことなく、前へ前へ進めることができたことはとてもよかったです。メンバーそれぞれが同時進行で他の活動もしていたので、常にメンバー全員が集まれるわけではなく、情報共有を適宜していくことの必要性を感じました。今回のプロジェクトは、高度な計算という理系的部分と、地域との共生をどう考えるかという文系的部分の両方が求められるので、メンバーそれぞれの得意分野を生かして役割分担をすることができたのは、とてもよかったです。今までは、数学は数学、物理は物理、という感じでバラバラに学んでいる感じでしたが、今回のプロジェクトでは、それらが皆つながっていることが実感できました。また、三角関数をはじめ、授業で学んだことを実地に役立たせることができたことも、おもしろい体験でした。皆から出たアイデアを一つ一つ否定せずに考えていった結果、浮体の形状が他の3チームとはずいぶん異なる、独創的なものになっていました!
~~後輩たちへ~~
高い点は取れませんでしたが、独創的な取り組みということで、ベストチャレンジ賞をいただきました。その副賞10000円で、距離センサーを購入しました。開智の探究は、「測る」ことが大事です。これを探究活動に役立ててください。
~~インタビューを終えて~~
よりよい浮体をめざして、チームで議論を重ね、二転三転しながら製作を進めていった過程を、大変興味深く感じました。それぞれの持ち味を生かしてチームワークを発揮できるのが開智生の長所です。その結果、奇をてらったわけではないのに、他のチームと比べて独創的な形状になったということは、それだけ彼らが必死に独自で考えた証だと評価しています。当日の実証試験で不規則な波には勝てなかった時には、とても悔しく感じたことと思いますが、その悔しさをバネに、他の場面で今回の経験を生かしてくれることを願っています。