卒業生インタビュー⑤(校長ブログ110)
冬休みとなると、卒業生が学校を訪ねてくれることも増えてきます。司法修習が終わって晴れて弁護士となった、13期生の後藤さんが年末に学校に来てくれたので、さっそくインタビューしました。
【後藤充さんプロフィール】
13期生(2015年卒)。早稲田大学法学部卒業後、東京大学ロースクールに進学し、2021年司法試験合格。司法修習を経て、2022年12月に弁護士登録(東京第二弁護士会所属)。1月から都内の法律事務所にて勤務開始。
~~弁護士になるまでの道のりを教えてください~~
祖父が裁判官だったことが、最初のきっかけです。早稲田大学法学部に入学後、本格的に法律の勉強を始めました。開智の頃は、クラスメイトと共に学び合うことがとても楽しく、また、ためになったのですが、大学の前半は周りに法曹志望の学生がそれほど多く無かったこともあり、勉強は結構つらかったです。3年からゼミが始まり、同じような志望の人と刺激し合うことができて、それ以降はいい感じで勉強ができました。ロースクールの時も、ソクラテスメソッドという、教授の質問に対して学生が答えるという双方向の授業がメインで、プレッシャーはかかるものの、とてもためになる授業を受けることができました。開智のように、双方向型で、仲間と学び合って共に伸びるという学習方法が、私には合っているようです。司法修習生の間は、裁判官、検察官、弁護士の仕事を一通り経験することができ、とても勉強になりました。
~~どういう弁護士になりたいですか?~~
学生時代に、いくつかインターンを経験しました。最初はIT人材マッチング会社のベンチャーで働きました。様々な規制がある中で、役所と折衝しながら成長を模索していく必要があるベンチャーの仕事において、法律の専門家の必要性を痛感しました。次に国会議員事務所でもインターンを行いました。ここでは、刻一刻と変化していく社会に対応していくために、新しい法律を制定する必要があり、法律の専門家と国会議員が連携して仕事をしていくことの重要性を学びました。司法修習生時代にも、福岡市のmirai@という公民連携プロジェクトのお手伝いをしました。これは、民間事業者と福岡市が連携して、AIやIoTといった先端技術を活用し、社会課題を解決することで、あらゆる人が快適に暮らせる超スマート社会の実現を図るための窓口です。ベンチャーと市の接点として、法律の専門家の役割を学ぶことができました。こういった活動を経験して、ベンチャー企業が発展していくために、規制緩和の提案や役所との調整業務、現実の社会に対応した新しいルールを作るルールメイキングの仕事などをしていきたいと考えるようになりました。とは言っても、まずは諸先輩の仕事をよく見て、弁護士としての基礎固めから出発したいと思います。
~~開智生時代をふりかえってください~~
小学校6年生の時、開智のパンフレットを見て、先端創造クラスというものが新たにできると知り、興味を持ちました。学び合いや話し合いを積極的に行うとか、実験をたくさん行うといったことが書かれており、「おもしろそうだな」と思って開智を第一志望にしました。入学後は、バスケットボール部に入り、練習に打ち込みました。高校生になったら、自分たちでメニューを考えたり、作戦を考えたりするようになり、その時は、「もっと先生が教えてくれればいいのに」と思いましたが、今からすると、その方がいろんな力がついてよかったと思っています。開智で初めて全日本高校模擬国連大会に出場して、ネゴシエーション能力の重要性を感じたり、文系なのに科学の甲子園に出たりするなど、学外の活動にも積極的に参加しました。大学受験の勉強も、入学時から皆で学び合う習慣ができていて、その延長で結構楽しく取り組めたと思います。こういった経験が今につながっていると感じます。
~~メッセージをどうぞ~~
当時の自分へ:同じような目標を持つ仲間がいることの大切さと、ありがたさを感じよう!
今の開智生へ:どういったことに時間を使うかは、自分で決めることが大事です。自分が自分の人生を肯定できるようになるために、今何をするのがよいか、ということを考えるといいと思います。また、弁護士は余っていて就職難という噂も出回っていますが、決してそんなことはなく、多くの場面で必要とされている仕事です。法曹資格を得るまでの期間も短縮される方向です。ぜひ目指してください。
~~インタビューを終えて~~
筆者が学生のころは、受験勉強がんばったことのご褒美として、大学4年間はのんびりし、就職後はガンガン働く、といった生き方が普通だったという気がしますが、最近の学生は、いろんな体験から将来の方向性を考え、主体的に仕事を選んでいく人が増えてきているように感じます。開智で学んだこと、大学に入ってから学んだことを栄養分にして未来に飛び立って行く卒業生に、聞いている筆者もたくさん力をもらったような気がしました。