コンセプトを実現するために【鉄道研究部の挑戦】(校長ブログ200)
9月の行われた開智発表会では、クラス・部活動・有志団体など多くの団体がそれぞれの成果を発表していましたが、その一つに、鉄道研究部の企画があります。鉄道研究部は、「ON TIME ニッポン」をコンセプトに様々な企画を実施していました。今年の開智発表会全体のコンセプトは、「燎(かがりび)」でした。鉄道研究部ではどういう意図で部としてのコンセプトを作ったのか、などについて、部長の石井君に話を聞いてみました。
~~コンセプト「ON TIME ニッポン」について~~
今までやってきたことをそのままやろう、ではなく、自分たちは開智発表会で何をやりたいのか、何を来場者に届けたいのか、を皆で考えました。いろんな意見が出ましたが、やはり、日本の鉄道システムは大変すばらしい、それを感じてもらうことをコンセプトにしようということになりました。日本の鉄道のすばらしい点はたくさんありますが、時間通りに運用されていることがまず挙げられると思います。よって、まずon timeという言葉を思いつきました。そして、最初と最後にonという音が入っていて覚えやすい、ということで、コンセプトは、「On time ニッポン」に決まりました。コンセプトを決めることで、来場者の意識も、部員の意識も高まったと感じています。
~~具体的な取り組み~~
日本らしさといえば、四季や朝晩の見え方の違いだと考えました。これまでに鉄研で制作した鉄道模型コンテストの作品を季節別に並べてみました。また、朝と夜の違いを表すために、時間を決めて部屋の電気を落とし、夜の風景を表現してみました。昔と今の対比ということにも意識し、資料配布のための道具として、昔懐かしい駅弁売りのカゴを自作しました。また、今年の企画は、「体験」を意識しました。お客さんが自分で運転もできる、校舎外での恒例のミニ電車も好評で、今年の車体は東武8000系の復刻カラーで、ここでも今と昔の対比を実現しました。コンセプトの設定は、部員の意識向上にもつながり、部員たちが積極的に呼び込みもやってくれたことも功を奏し、来場者が、昨年の800人から1200人に大幅増加しました。成功と言えると思っています。
~~大変だったこと~~
鉄道研究部としてのコンセプトを決めて開智発表会に取り組むのは、今年が初めてだったので、慣れないこともあって大変でした。めざしたい思いという抽象的なものを、具体的な短い言葉に置き換えていく難しさを感じました。いろいろと忙しい中で準備をすることになるので、スケジュール管理が大変でした。6月に想定外の大雨があり、ミニ電車の台車が水没するというトラブルにも見舞われました。
~~学んだこと~~
鉄道研究部は、普段、模型班と部企班と技工班の3つに分かれて活動しています。今回の開智発表会の準備に際しては、その班をあえてシャッフルして準備チームを編成しました。その結果、これまでは班の中で閉じていたいろんなノウハウが全体で共有されるようになり、固定観念に囚われない、自由でフレッシュな発想が生まれたと思います。効果的な組織づくりとはどういうものか、学んだ気がします。また、早め早めで準備すること、先手必勝、「完成したところからさらに磨きをかける」という精神で取り組むこと、などが実現できたと思います。ついやっつけ仕事になってしまい、クォリティは二の次になりがちなところを、より高いレベルを目指せるような体制が作れたと思っています。
~~来年度以降の来場者へのメッセージをお願いします~~
鉄研、というとある固定したイメージがあるかもしれませんが、開智の鉄研はいろんなことをやっています。カジュアルなイメージを追求したいと思っています。ぜひ鉄研の部屋にご来場ください!
~~インタビューを終えて~~
どういう学校行事にしたいのか、それを実現するためには、どういう組織で取り進めていくのがよいのか、ということを常に考えるのが、開智生の特徴です。今回の鉄研も、それがまさに実現されていました。途中で様々な困難もありました。それを仲間で相談しながら、一つ一つ解決していき、今回の立派な企画を完成させました。大変すばらしいことだと思います。筆者もミニ電車に乗りました。スピードが可変であり、だんだん速くなってくるにつれて、顔に当たる風のさわやかさが増していくこと、レールの継ぎ目の「ガタンゴトン」という懐かしい響きが実感できたこと等、大変感動しました。多くの来場者が同じさわやかさを感じたことと思います。めざすものを明確にして、実現に向けて効果的な組織づくりを行う。いろんな場面で応用していってほしいと思います。