学校ブログ

第24回ハンセン病問題に関するシンポジウム出席(校長ブログ213)

4年生の4人(熊谷君、佐藤さん、髙橋君、中村君)が、第24回ハンセン病問題に関するシンポジウム(主催:厚生労働省、法務省、文部科学省、全国人権擁護委員連合会、運営事務局:笹川保健財団)に参加しました。参加に至る経緯、発表の様子などについて、4人に話を聞きました。

 

~~シンポジウム参加のきっかけ~~

私たちのクラスの現代文の授業は、今年度「プレDP」という位置づけで、担任でもある田中先生が国際バカロレアの教育をふまえた取り組みをしています。本やマンガ、映画などを分析してディスカッションするという形式で、様々な作品を題材にしました。その一つが、映画化もされた、ドリアン助川さんの小説「あん」です。班に分かれて、様々なテーマ(たとえば、「『あん』が現代社会に与える示唆とは何か」など)について、議論し、その結果をクラス全体で発表するという活動をしました。この小説は、ハンセン病問題をベースにした作品で、これに関連して田中先生から、シンポジウム参加の提案がありました。国立ハンセン病資料館の方が来校され、ハンセン病やハンセン病問題に関する講義もしていただきました。希望者の中から抽選で、私たち4人が参加することになりました。

 

~~発表内容について~~

主催者の方から、今回の高校生の発表は、ハンセン病に関係する方から話を聞き、それをまとめること、ハンセン病問題について考えること、という方向性が示されました。発表内容をまとめたリーフレットも作成するよう、指示がありました。私たちとしては、インタビューの結果をまとめるだけでなく、自分たちもハンセン病問題について他者に伝える活動もしたいという思いもあったので、その活動も織り込むことにしました。

 

~~インタビューの様子を教えてください~~

ハンセン病患者の家族の方にインタビューをしました。田中先生の授業で、「半構造化インタビュー」の手法を学んでいたので、その手法を用いました。あらかじめ決めておいた質問をするだけではなく、その場その場で相手の考え・気持ちなどを推測しながら、臨機応変に質問内容を変えていく、という難しい手法です。インタビューをしながら、相手はどうしてこのように話してくれるのだろう、といった疑問を常に探しながら質問を考えていきました。自ら求める姿勢がないと情報を得ることはできないということがわかりました。私たちが事前に予想していたこととは違う思いを家族の方々はお持ちだということもわかりました。

 

~~伝えることの難しさについて~~

私たちが聞いたこと、考えたことなどについて、9月の開智発表会(文化祭)で来校者に向けて発表し、11月には、開智の2年生のGBコースの生徒に対して発表、そして、今年の1月には、近隣の小学校での教育サポートの一環として、小学生に向けて発表を行いました。発表を聞いてくれる相手に応じて伝え方を変えることの必要性、難しさを感じました。特に小学生相手の発表は、言葉が難しすぎないようにする配慮や、真実を伝えることと恐怖感を与えないことをどう両立するかなどが難しく感じました。

 

~~シンポジウム当日の様子~~

大勢の方が参加されていて、とても緊張しました。主催者の方からのアドバイスもあり、クイズ形式なども採り入れ、場を盛り上げる工夫もしました。アドリブなども交え、まずまずの反応が得られたと思います。

 

~~学んだこと~~

ハンセン病のことは、歴史上の人物との関係で少しは知っていましたが、ほとんど知らなかったに等しいことに気づかされました。今回のインタビューを通して、この問題は自分たちにも関係のある問題であることを学びました。また、人の気持ちを理解すること、何かを人に伝えることの難しさを学ぶことができました。自分自身を振り返るきっかけにもなったと思っています。

 

~~社会問題の解決に高校生ができることとは~~

まず正しく知ること。そして自分の考えを持って社会の改善のために行動を起こすこと。高校生は未熟な存在ですが、逆にそれがプラスに評価されることもあるので、自分たちに何ができるのか自分事として考え、協力を求めていくこと、などが大事だと思います。

プレDP現代文の授業の様子。
本校2年生に活動内容を伝えました。
校長室にて。
シンポジウムでの発表の様子。
作成したリーフレット。

~~インタビューを終えて~~

ハンセン病について単に知るだけではなく、ハンセン病問題とはどういう社会問題なのか、その解決にはどうすることが必要なのか、についてまで考えることにつなげられたことは、大変良かったと思います。現代文の授業において、題材について考え、ディスカッションすること自体、非常に有意義ですが、それに加えて、外に出て行っていろいろな人と接し、語り合い、考えを深めることは、さらに有意義です。「ハンセン病問題について、他者に伝える」というところまで自主的に広げられた点も、すばらしいと思います。将来の夢についても、それぞれに語ってくれました。今回の経験が彼らの今後の人生に生かされることを願っています。