卒業生からの言葉 全文掲載
3月16日に行われた卒業式での「卒業生からの言葉」を掲載します。
参列者を制限せざるを得なかった今年度の卒業式ですが、在校生を含め本校にかかわる多くの方々に19期生の思いが伝わってほしいと思います。
卒業生からの言葉
やわらかく、あたたかな日差しに、心華やぐ季節となりました。桜の木には蕾がつき始め、春の訪れを、心待ちにしているように感じます。
本日は、私たち19期生のために、このような式を挙行して頂き、ありがとうございます。新型コロナウイルスの流行に伴い、様々な行事が中止されているなか、卒業式の挙行のために、尽力して下さった、先生方、関係者の方々に、卒業生を代表して、御礼申し上げます。
振り返ると、開智で過ごした六年間は、私を含め、19期生にとって、本当に、充実したものでした。体育祭では、「今までの体育祭の中で、最も良いものにしたい」、という実行委員や、応援団の思いから、競技内容だけでなく、体育祭のコンセプトや、テーマにも、長い時間をかけて、話し合いました。開智発表会でも、実行委員だけでなく、有志企画や、クラス企画を良いものとするために、それぞれが、それぞれの場所で力を発揮し、責任感を持って、取り組むことができた、と感じています。当然のことではありますが、失敗もありました。体育祭では、競技に時間がかかり、応援パフォーマンスの実施も危ぶまれましたし、開智発表会では、なかなか、人が入らないクラスがあるなど、どちらも想定外のことが多く、私には、実行委員としても、クラスの一員としても、走り回っていた記憶があります。しかし、19期生の持つ、真面目さや集中力、協調性が、うまく組み合わさり、無事に、乗り越えることができました。
もちろん、このように、私たちが行事運営に勤しむことができたのは、19期以降の、後輩たちの存在があったからこそです。残念ながら、本日は列席していませんが、彼らにも、感謝の気持ちを伝えたいです。そして、彼らには、私たちが卒業した後の開智を、是非盛り上げてほしいですし、残りの学校生活を、悔いが残らぬよう、全力で楽しんで欲しいと思っています。
受験生として過ごした1年間は、多くの19期生にとって、大切なものとなったのではないでしょうか。コロナ禍、ということで、自宅でのオンライン授業が行われたり、勉強合宿が中止になったりと、予定が変わることが多く、戸惑うことも多くありました。しかし、この経験を得たことによって、柔軟に対応する力を身につけることができ、そして何よりも、私たちは、多くの人に支えられている、ということに、改めて、気がつくことができたと思います。
先生方は、学力面だけでなく、私たちが将来何をしたいのか、どうなりたいのか、という点を考慮しながら、進路に迷う私たちに向き合ってくださいました。私は、苦手な数学にどのように取り組んでいくのか、ということや、長期休み期間中に行う勉強の計画など、様々なことに対して、教科担当の先生方や担任の先生からアドバイスを頂いていました。受験勉強が思うように進まないときには、いつも励ましていただき、先生方のおかげで、最後まで受験勉強をやり遂げることができた、と感じています。放課後の職員室では、先生と生徒が話し合っている姿が多く見られ、そういった先生方の支えがあったからこそ、勉強においても、そのほかの部分においても、大いに成長することが出来たのだと思います。本当にありがとうございました。
太宰治の『正義と微笑』には次のような一節があります。
「学問なんて、覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。けれども、全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。」
受験勉強の際に、大切にしていた言葉でした。この言葉は、勉強だけでなく、何か目標に向かって努力する過程全てに当てはまると私は感じています。これから生きていくなかで、努力していたとしても、19期生全員が、程度の差はあれど、挫折を経験するでしょう。しかし、それでいいのだと思います。重要なのは、努力する過程であり、挫折を糧にして、更に、成長することではないでしょうか。開智で、多くの経験を積んできた、私たち19期生であれば、挫折に挫けることなく、将来に向かって、邁進していくことができる。私はそう信じています。
最後となりますが、今までお世話になった先生方、共に開智で過ごした19期生のみんな、これまで様々な面で支えてくれた、家族への感謝の言葉にかえて、答辞とさせていただきます。
令和3年3月16日 卒業生代表