第14回全日本模擬国連大会優秀賞受賞
全日本高校模擬国連大会は、毎年11月に東京で開催する日本最高峰の高校模擬国連会議です。今年度は11月14日、15日(土、日)の2日間にわたって、219チームの中から、英語と日本語による書類選考を通過した54チーム(108名)が国連加盟国の各国大使を担当し、「宇宙利用(Uses of Outer Space)」についてオンラインという初の形態で議論しました。
本校からは20期(高2)の福井君と高橋さんが、チリ大使として全国大会に出場し、優秀賞を受賞しました。全国大会出場2回目の福井君は、前回の全国大会で情報不足を思い知らされ、過去の受賞者や強豪校の人を取材するなどして、為すべきことを明確にしてきました。高橋さんは模擬国連出場(18期)報告会に参加はしたものの、挑戦までは考えていなかったそうですが、クラスメイトだった福井君に誘われ参加を決めました。
10月半ばに議題に関する基礎知識や情報を共有する目的の議題解説書、通称「BG(Background Guide)が配布され、そこから具体的な準備に入るのですが、定期考査や模試、体育祭と重なり、さらに高橋さんは体育祭実行委員ということもあって、身体がいくつあっても足りない忙しさ。とはいえ、どれも手を抜かないで10月末から短期集中で乗り切ろうと2人で決め、役割分担をして会議の準備を進めたそうです。
模擬国連には、公式討議と非公式討議のふたつの議論形態が存在します。
会議の進行、手続き、投票、決議の採択などを含む公式討議はすべて英語で進行し、ここでは自国の主張や政策を訴えるためのスピーチや、動議を発表します。 非公式討議(コーカス)は、ほぼ日本語で行われ、モデレートコーカス(着席討議)、アンモデレートコーカス(非着席討議)の2種類があります。
前者は、議長が進行を担います。大使は自国の席に座ったままなので公式会議と同じように見えますが、あくまでも非公式会議の位置づけです。一般的に私たちが思い浮かべる「会議」のイメージに近いもので、細かいやり取りや議論も行います。
後者は、会場のいたるところで、大使が自由に議論し、文書を作成したりします。交渉や駆け引きの主戦場はこのアンモデレートコーカスです。
~当日について~
1日目は、予想していなかったグルーピングがなされるなど苦しい場面もありましたが、途上国全体で集まったことにより議論の収集がつかなくなっていたことなどを的確に指摘し、ラテンアメリカやアフリカなどのスタンスの近しい国を率いて新グループ形成し、主導権を握ることが出来たそうです。他大使が、過剰に文書の提出や、コンセンサスに拘りすぎていることなどによる、予定調和ありきの議論を見直す必要性も積極的に訴えたそうです。
しかし、1目の夜に、1度立ち返って自分たちの今やるべきことを見極めるために議場全体を俯瞰した時、各グループが、全体で総論での合意が形成される前に、自グループしか賛同できないような各論ベースの議論に走りすぎていることに気づきました。
そして、2日目は冒頭の非公式討議で、新たな議論の進め方を提案し、その後も、常に俯瞰的な視点を忘れずに行動することができ、最後まで議場の中核を担いました。その結果、審査員から「常に俯瞰的な視点を持ち臨機応変に動くことができていた」と評価され受賞に至りました。
~感想~
「自国中心主義になるのではなく、他国の大使の意見を聞く姿勢が大切。きちんとした根拠に基づいて、真摯に話せば理解してもらえる。開智の哲学対話が活きました。」と高橋さん。
「自分の意見の発表会ではない。初歩的なことですが、相手の話にきちんと耳を傾け、笑顔を忘れずにきちんと目を見て話すことが大切。本当に色々な学びを得ることが出来ました」と福井君。
「自分たちのノウハウを伝えていきたい。勝ち方さえ分かれば、開智も強豪校になれる」と口をそろえます。大会を通じて、医系コースの高橋さんは、1対1で人と直接的な繋がりを持ちつつ、その人に貢献できる医療への気持ちが強まったそうです。福井君は、模擬国連で様々な国際問題について議論する過程で、ほぼ全ての問題の根底にある経済格差について、学びたいという思いを深めたそうです。