アクアポニックス(校長ブログ154)
技術の時間の取り組みをきっかけに、有志のグループがアクアポニックスの制作に取り組みました。正面玄関奥のロビーに実物が展示されています。ここに至るまでの経緯などについて、インタビューしました。小澤君(5年生)、小川さん、矢澤さん、三浦さん、清水さん、唐さん、山元さん(3年生)たちです。
【アクアポニックスとは】
水耕栽培と水産養殖とを組み合わせたもの。魚やエビを水槽で飼うと、だんだんアンモニア等の成分が増えて水を入れ替えないといけなくなるが、適切に環境を整えると、微生物がアンモニアを分解して、植物が育つのに必要な栄養分になる。両者をうまく組み合わせると、魚を育てながら、植物も育てるということが可能になる。アクアポニックスという用語は、養殖(aquaculture)と水耕農業(hydroponic agriculture)からの造語。
【現在のアクアポニックス】
<30㎝水槽>
葉物野菜(クレソン、リーフレタス、サニーレタス、パクチー)&メダカ
<アクアポニックスキット水槽>
ハーブ(レモンバーム、ワイルドストロベリー、バジル、チャイブ、ローズマリー)&錦鯉・金魚
<60㎝水槽>
イチゴ(一季なりの宝交早生、四季なりの桃花)&日本淡水魚(バラタナゴ、オイカワ、モツゴ)
【以前のアクアポニックス】
<20㎝水槽>
メダカ稚魚&豆苗
金魚稚魚&カモミール
<30㎝水槽>
メダカ&ステビア、ワイルドストロベリー
*イチゴ栽培練習のために今年の夏ごろまで栽培
~~この活動に参加したきっかけは?~~
昨年度の夏休みの活動として、「アクアポニックスの制作・運用」をいっしょにやりませんか、という技術科の中里先生・江島先生からのお誘いが2学年(当時)の学年だよりに載ったのが、最初のきっかけです。まず、吹奏楽部の2年生(当時)のメンバーが、「おもしろそうだ」と思って、反応しました。
吹奏楽部の2年生のメンバーからその話を聞き、探究テーマでずっと魚類について取り組んでいたくらい、魚には興味があったので、参加しました。
科学部でもこのことが話題になり、顧問の生澤先生の勧めもあって、参加しました。
~~大変だったこと~~
水槽に入れる石は市販されているものを利用したのですが、よく洗わないと水が濁ってしまうので、相当丁寧に洗いました。水槽の壁にはすぐに苔がつくので、定期的に洗わないといけません。水槽を持ち運びするときに、制服がびしょ濡れになってしまいました(この問題は、イシマキガイという貝やヤマトヌマエビというエビを水槽に入れると、苔をどんどん食べてくれるので、相当改善されました)。
初期の頃は、メダカはすぐに死んでしまうし、植物もうまく育たないなど、試行錯誤の連続でした。ある程度軌道に乗ると、いろんな魚を導入してみたくなり、タナゴや〇〇エビを自宅の近所の沼から捕まえてきて、水槽に入れることにしました。野生の魚を水槽にいきなり入れると、持っている病気から水槽の魚が全滅してしまうことがよくあるので、一定期間、水合わせという作業をすることも、結構大変でした。
掲示資料をラミネーターで作成しましたが、なかなかうまくいかず、苦労しました。
~~興味深かったこと、学んだこと~~
これまで魚とは無縁の生活をしてきました。その手のことは面倒臭いと思う方だったのですが、やってみると、意外と魚はかわいいということに気づきました。
水族館が好きでよく行きますが、魚を飼育するということはとても難しいということが、実際にやってみてよくわかりました。
魚は好きでも、植物には興味がなかったのですが、適切な組み合わせになると、両方が成長するということが、よくわかりました。
苦労の結果、野いちごなどを収穫してそれをみんなで食べた時は、とても達成感を味わうことができました。定期的に集まって、おしゃべりしながら、いろんな作業をしたのは、とても楽しい時間となりました。
~~今後は?~~
植物・魚ともに、いろんな種類に挑戦してみたいです。もっと大きな魚とか、お花とか。開智アクアポニックスをみんなに知ってもらいたいです。水田の再現にも挑戦してみたいです。近くの農家の方達にアドバイスをいただきながら。また、今水槽に入れている魚は稚魚ばかりなので、これから大きくなるにつれて、形や色などが、環境に合わせて変化していくことと思います。その辺も観察したいです。
~~担当の先生から(江島先生)~~
アクアポニックスは、将来の食料生産の維持にとっても、とても重要なテクノロジーです。引き続き、技術科の授業の中で取り組んでいきたいです。水温計やpH計などを導入し、そのデータ分析などにも取り組んでいきたいです。これからが楽しみです。
~~インタビューを終えて~~
筆者自身も、子どもの頃にメダカを飼っていた経験があり、なるべく本物の生態系に似せたいと思っていた記憶があります。水槽の中にいる魚をじっと見ているだけで、何かワクワクします。将来のテクノロジーにつながるとも聞き、とても有意義な活動だと思いました。同じ興味関心を持っているというだけで、いきなりグループで協力して何かに取り組むことができるということに、開智生の特徴がよく現われていると思います。今後の活動に注目です。