学校ブログ

ディベート部全国大会出場(校長ブログ85)

 ディベート部が、昨年度に続き、中高そろって全国大会「ディベート甲子園」に出場しました。それぞれ決勝トーナメントに進出するなど、大活躍しました。全国大会をふりかえって、今思うことについて、聞きました。少し長文となりますが、ご覧ください。

【中学生】

中学生チーム。会場にて。

~~関東大会をふりかえって~~

 1日目をうまくクリアできたことが功を奏し、決勝まで順調に進めました。決勝では相手が出してきた強力な資料に対抗できず、敗北してしまいました。論題に関する様々な記事を事前に調査していたのですが、相手が使用していた資料が有料記事だったこともあり、事前の詰めが甘かったことが敗因と分析しています。論題は、「日本は中学生以下のスマートフォンなどの使用を禁止すべきである。是か非か」で、全国大会も同じ論題となります。

~~全国大会に向けて~~

 目標は全国優勝、少なくとも、昨年の先輩と同じ結果(=ベスト16)としました。関東大会はオンライン実施でしたが、全国大会から対面開催となります。中学入学以来、オンライン開催の大会しか経験がないので、対面開催の経験のある高校生の先輩たちに注意事項を教わりました。他校との間にいかに情報交換ができるかが勝負の決め手だと聞き、それを心がけました。関東大会での反省をふまえ、肯定側も否定側も立論を見直しました。全国大会までに練習試合をたくさんこなし、本番に備えました。

~~予選リーグ~~

 無事、予選リーグをクリアすることができました。ただ、初めての対面開催ということで、いつもと随分勝手が違いました。感染防止対策のために、パーティションとの距離が大変近くなっており、声が相手やジャッジ(審判)に届いているのかがわからないことにとても戸惑いました。決勝トーナメントに進むにあたって、今回の試合環境に適した声の出し方について、チームでチェック・猛練習しました。

~~決勝トーナメント~~

 1回戦に当たった関西創価中さんは、実は大会前に練習試合をした相手でした。その時は開智が勝ったのですが、その時と比べてさらにグレードアップした資料に手こずったために敗北、ベスト16止まりとなってしまいました。後から考えてみれば、こう攻めたら良かったのでは、という点がいくつもあるのですが、その場で思いつけるようにすることが、今後の課題だと思います。残念ではありますが、完敗ということで案外すっきりしています。ジャッジの方からは、チームの連携が非常に良かったとのコメントをいただき、そこは気をつけていたところなので、うれしかったです。(筆者注:最終的には関西創価中学校が全国優勝)

~~今後の目標~~

 3年生は、秋から高校生チームになります。高校のディベートは、レベルが非常に高くなるので、しっかり練習して実力をつけたいです。中学生は1,2年生のチームとなりますが、2年生の部員数が少ないので、1年生を鍛えていっしょに戦えるようにしたいです。

~~ディベートに必要なものとは?~~

 「ロジックとファクトの両方をしっかり組み立てる。」「議論は常に進化している。現状に満足せず、常に進化のスピードに合わせていくこと。」「資料の正確な理解とチーム内での共有」「伝える力の向上。どこを強調するのか明確に。」「まずは日常的な練習が大事。」

【高校生】

高校生チーム

~~関東大会をふりかえって~~

 3戦全勝して全国大会出場権を勝ち取るつもりでしたが、2戦目で敗北。チームはお葬式のような雰囲気になってしまいましたが、何とか気持ちを立て直し、3戦目を勝ち切って、全国大会出場権を得ました。論題は、「日本はすべての石炭火力発電を代替発電に切り替えるべきである。是か非か」で、全国大会も同じ論題となります。

~~全国大会に向けて~~

 昨年度も全国大会に出ましたが、思うような結果を出せませんでした。この1年間、全国優勝を目標にがんばって来ました。いい資料・エビデンスを見つけられるかで勝敗は9割方決まるとも言われていますので、資料探索に時間をかけました。また、自分たちだけで活動していては、なかなか自身の欠点が見つけられません。練習試合をたくさんすることによって、穴を見つけることを心がけました。オンラインで沖縄の学校とも練習試合ができるようになったので、以前に比べたら恵まれた環境にいると思います。

~~全国大会予選リーグ~~

 当日会場(立教大学池袋キャンパス)で配布されたパンフレットに、開智が全国優勝した2018年の時の先輩たち(18期、19期)の写真が掲載されているのを見て、士気が一気に上がりました。全国優勝を成し遂げるためにも、予選リーグは全勝で突破することは必須と考えていました。しかしながら、言い訳にはなりませんが、久しぶり(3年ぶり)の対面開催ということで調子がつかめなかったこともあり、1試合落としてしまいました。他の2試合に勝つことができたので、決勝リーグに進むことができました。予選リーグの結果によって、決勝トーナメントの対戦相手が決まるので、1試合落としてしまったことは悔いが残ります。

~~全国大会決勝トーナメント~~

 1回戦は、関東大会優勝で、全国優勝候補の開成高校さんと対戦することになってしまいました。この論題については、関東大会での経験から、環境保全第一のスタンスを変える学校が多くなっていましたが、本校と開成高校さんはスタンスをぶらさずにいる点、共通していました。肯定側;開成高校、否定側;開智という立場で試合が行われました。相手の立論にはまったく隙がなく、対抗するのはとても大変でした。最終的に、環境か経済か、メリットはどちらが大きいか、という論点から、一つ上の視点に立って、日本としてはどうすべきなのか、という論点に移行したことが、おそらく評価されたのではと推測しますが、何とか勝利することができました。勝ち負けも大事ですが、いい議論がしたいと常々思っているので、その点で、この試合は、熱い、いい試合ができたと思っています。

 しかしながら、その1時間後に行われた岡崎高校さんとの試合に惜しくも敗れてしまいました。今度は肯定側となったのですが、せっかく開成高校さんの隙のない肯定側立論を目の当たりしたにもかかわらず、それを次に生かすことができませんでした。残念です。(筆者注:最終的には岡崎高校が全国優勝)

~~ディベートの勝ち負けを左右するものとは?~~

 一般的には3つの要素があると言われます。ディベートの「質」「規模」「価値観」です。得てして、最初の2つにこだわってしまいがちです。でも、最後の「価値観」が一番大事だと思っています。ただ単に相手を言い負かすのではなく、価値観と価値観のぶつかりあい、相手よりも広い視点に立って意見を主張できるかが、勝ち負けを決めると思います。いい試合というのは、そのような価値観のぶつかり合いになるようなものを指すと考えます。

~~今後のディベート部の方向性~~

 勝ち負けも大事ですが、いい議論ができることをめざしたいです。事前の準備はどこにも負けないくらいやっている自負がありますが、スピーチ力の強化も必要だと考えています。

~~部長の野崎翔瑛君から一言~~

 ただ単にディベートの大会に出て勝つ、ということだけでなく、外とのつながりを大事にしたいと思います。卒業生はもちろん、他校の生徒、大学生、社会人、ジャッジを担当される方とどんどん交流を深め、部の財産にできるよう、力を尽くしたいと思っています。

~~インタビューを終えて~~

 1年前にも本ブログでインタビューを掲載しましたが、改めてディベートの奥深さを痛感しました。中高それぞれ目標としていた全国優勝はなりませんでしたが、多くのことを学んだようです。開智の部活動の特徴として、生徒自身が自ら考え、悩み、色々な人と相談し、一つ一つ成長していく姿が常に見られることが挙げられます。ディベート部も同様です。今後のディベート部の一層の活躍を応援したいと思います。改めて、全国大会での活躍おめでとう、そして、お疲れ様でした。