3年生進路講演会+卒業生インタビュー⑦
3年生が、社会人の方のお話を聞いて自分の進路を考えるきっかけにする、「進路講演会」を行いました。今回お招きしたのは、本校卒業生の久能木百香さん。開智生の頃のことから始まり、大学生時代、社会人時代のお話を、具体的な逸話を交えて語っていただきました。生徒達も、大変興味深く聞き入っていました。せっかくの機会なので、講演終了後、久能木さんにインタビューをしました。
【経歴】
開智中学・高等学校(一貫部9期生。2011年卒)、慶應義塾大学卒業後、新潟のテレビ局でアナウンサー、その後民間の気象会社に転職し、現在は東京のテレビ局で気象予報士(気象デスク、気象キャスター)として働いている。
【講演会の内容】
<開智生時代>
部活(女子バスケットボール部)と学校行事(開智発表会や体育祭でダンス)と趣味(クラシックバレエ)に打ち込んでいました。人間関係の縦と横のつながりを深められたことが良かったと思っています。また、探究・フィールドワークは、情報を主体的に取りに行く姿勢を培ったという点で、今の仕事に役立っています。
<大学生時代>
「好きを極める」と「未来への貯蓄」の二つを意識して様々な活動に取り組みました。前者はクラシックバレエ、後者はアナウンサーになるための準備と、気象についての学習です。いろんなことにチャレンジしたことが後の財産になっています。
<アナウンサー時代>
新潟のテレビ局に務めました。新潟出身ではないことが、地元の方には気づきにくい新潟の良さを発見することにつながるということを意識して仕事をしていました。番組を作ることについては、とても多くの人が関係していて、皆が協力することで完成するということも学びました。
<気象会社時代>
令和元年東日本台風による災害の放送を通して、防災や減災について強く考えるようになり、現在の会社に転職しました。テレビでの天気予報や、気象情報の分析・提供、様々な場所での講演会など、仕事は多岐にわたっています。多くの人が防災・減災を考えるようになる社会をめざして、活動中です。
~~自らのキャリアを築き上げていく上で、重要だと思っていることは何ですか?~~
<毎日の積み重ね>
アナウンサーの時は取材をした場所や人をまとめ、気象予報士として働くようになってからは天気ノートを毎日つけています。例年この時期にどんなことがニュースになっていたかどんな気象状況だったかをまとめることで、起きたことだけではなくこの時期起こりやすいことに対しても注意喚起ができたり、以前の反省をいかして伝えたりできるからです。
<継続取材>
取材させていただく方を取材対象者、一度きりの関係として捉えるのではなく、継続して関係を築くことを心がけています。災害を経験された方も継続して取材していますが、その人の気持ちの変化、人の心の強さからも災害を伝え続けていきたいと考えています。人の想いまで届けることを大切にしています。
~~社会人として必要なスキルとは?~~
やはり、コミュニケーション力だと思います。1人で完結せず、多くの人で一つの番組を作り上げるため、意思疎通ができているかが重要です。普段の何気ない会話からアイデアが生まれることもあります。意見を伝えるだけではなく、意見を聞くことによって自分の考えがブラッシュアップされることも多いので、周りの見解に耳を傾けることを大切にしています。
~~開智で学んだことで、今生きていることは?~~
開智の探究・フィールドワークでは、グループワークが多かった思い出があります。グループは毎回違うので、それぞれの特性や特徴を自然とつかんで適切な役割分担をすること、チームで協力すること、といった姿勢が中学生高校生の頃から身につき、社会に出てからチームで仕事をすることの基礎になったと思います。そして、「なぜ?」「何?」の精神を持って、自らの足で、自らの目で確かめたことは今でも記憶に残っています。自分自身で調べたり学んだりすることの大切さも学びました。
~~今後の方向性~~
災害が起きた時だけの、「点」の防災ではなく、日常からつながる「線」の防災を伝えていきたいです。最終的には災害や気象情報を伝えるとともに、一人一人自らが防災情報を取得できるのが理想だと考えています。生活の中での防災を意識してもらうために、穏やかな日常の時こそ、防災についてのニュースを積極的に伝えていきたいと思っています。また講演会や市長との対談などを通じて地域防災についても考えています。気象と大きく関わっている地球温暖化や環境問題にもさらに力を入れていきたいです。
~~開智生へメッセージをお願いします~~
これから進路を選択しようとする時に、壁にぶつかることがあるかもしれません。しかし、道は一つではなく、新たな可能性がいくらでも広がっています。今築いている、人と人とのつながりや経験は、どんな形であれ、すべて未来の自分を助けてくれます。せっかくなら、「やるだけやってみよう」という精神でポジティブにチャレンジしてください・・・私自身もそうしていきたいです。頭を動かし、体を動かし、心を動かし、豊かな人間を目指して、今しかない素敵な学生生活を送ってください。
~~インタビューを終えて~~
講演会では、お話だけでなく、実際に天気予報のアナウンスを体験してみようという企画も行っていただきました。終了後も多くの生徒が質問をしていました。生徒にとって、とても印象的な機会だったようです。各自の個性を生かしながらグループで話し合っていくのが得意という開智生の特徴が、社会人になっても生きているということを改めて聞き、感慨深いものがありました。気象の変動にどう対応していくかは、世界共通の課題でもあります。今後のご活躍を応援しています。